生徒に温かい麻婆豆腐を手渡すスタッフ

写真=豊島正直

生きづらさを抱える高校生に、ホッとできる場とあったかいご飯を。「校内居場所カフェ」という寄り添い型支援のかたち

  • 暮らしと社会

学校生活、人間関係、進路など、悩みを人に打ち明けることなく、生きづらさを抱えた高校生は少なくない。家庭内のセンシティブなことで悩む生徒も多く、学校だけに解決を促すことには限界がある。そうした中、団体や組織の枠を越えて運営する「校内居場所カフェ」に注目が集まっている。地域と学校、大人と高校生をつなぐ新しい支援のかたちは何か。パルシステム神奈川ゆめコープも参画する、横浜市立横浜総合高等学校(神奈川県横浜市)の「ようこそカフェ」を訪ねた。

“あいまいな場”の魅力「ようこそカフェ」

 横浜市立横浜総合高等学校(以下、横浜総合高)は、約1100人の在校生を数える県内有数の大規模校だ。3部制・単位制のカリキュラムで、授業が午前に始まるⅠ部、午後からのⅡ部、夕方からのⅢ部に分かれている。

 1階のフリースペースでは、毎週水曜日の正午から夕方5時半まで、「ようこそカフェ」がオープンする。校舎に入ると、にぎやかな声が聞こえてきた。

ようこそカフェの看板
生徒で賑わうようこそカフェ

 中庭に面したフリースペースは、日当たりがよくて、気持ちがいい。扉や壁のような仕切りがなく、自由に出入りできる開放感がある。カフェには、たくさんの生徒と大人たちがいた。テーブルには飲み物やお菓子、できたての温かい料理が並ぶ。大きな鍋では、麻婆豆腐がグツグツと煮込まれている。豆腐は、地元の企業であり、生協パルシステムとも長いつきあいのある共生食品株式会社が提供した。

鍋に入ったたくさんの豆腐

 「ようこそカフェ」には毎回、200人以上の生徒が訪れる。数人でテーブルを囲んでゲームをしたり、独りヘッドホンで音楽を聴いたり、ボランティアの大学生と会話をしたり、過ごし方はいろいろ。自由で、フランクで、あいまいな場のよさ。まったりとした時間の流れを感じた。

勉強をする女子生徒

ゲームをしたり、勉強したり、過ごし方は十人十色

 一人の男子生徒と目が合う。「ちわっす!」とあいさつをしてくれた彼に、「カフェにはよく来るの?」と尋ねた。

 「午前中に起きれたら来ます(笑)。Ⅰ部、Ⅱ部、Ⅲ部とコースが分かれているので、ほかの部の生徒と交流できるのが好きですね。ボランティアの大学生と話すのも好きです。ただ、自分の授業中に1階から楽しそうな声が聞こえてくると、『少し静かにしてくれ』と思いますね(笑)」

「校内居場所カフェ」のモデルケースとして

 近年、「校内居場所カフェ」と呼ばれる取り組みが、全国の高等学校に広がっている。悩みや生きづらさを独りで抱えず、気軽に話せる場を、学校内に作るのが目的だ。2016年10月から始まった横浜総合高の「ようこそカフェ」も、その一つだ。

 校内居場所カフェについて研究している、横浜市立大学の高橋寛人教授に伺った。高橋教授は、子どもや若者の支援にかかわる行政・NPO関係者と出会い、高校生の居場所作りの重要性を感じたという。

 「全国的に広がる『子ども食堂』は、虐待を受けていたり、家に居づらい子どもたちの居場所になっています。そうした居場所は、今の高校生にも必要なんです」

横浜市立大学の高橋寛人教授

横浜市立大学の高橋寛人教授

 校内居場所カフェの第1号は、2012年度に始まった大阪府立西成高等学校の「となりカフェ」といわれている。神奈川県でも、県立田奈高等学校の「ぴっかりカフェ」、川崎市立川崎高等学校の「ぽちっとカフェ」、横浜総合高の「ようこそカフェ」がそれぞれ始まった。

運営に3つの団体が連携することの意義

 横浜総合高の「ようこそカフェ」は、「公益財団法人よこはまユース」「認定NPO法人横浜メンタルサービスネットワーク」「認定NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ」の3団体が連携し、協同で運営に当たる。複数の団体が運営に関わることを、高橋教授はこう評価する。

別団体のスタッフ2人が、一人の男性と談笑中

別団体の職員が協力し問題解決に臨むことも、ここでは日常だ

 「それぞれの団体の専門性が混ざり合って、一つの居場所を作る。これは、生徒たちにとってもいいことです。就労支援であればよこはまユース、精神的なケアが必要な場合は横浜メンタルサービスネットワーク、日本語が苦手であれば多文化共生教育ネットワークかながわ、といったようにサポートする役割が分担できます」

 3つの団体とも、青少年の育成や若者支援を専門としている。よこはまユースは、地元で居場所作りに取り組む。横浜メンタルサービスネットワークは、精神保健福祉の観点から子どもたちをサポートする。多文化共生教育ネットワークかながわは、外国につながりのある子どもたちの支援を長年行ってきた。

 カフェの運営資金は3団体が知恵を出し合い、かながわボランタリー活動推進基金21の協働事業負担金、子供の未来応援基金、クラウドファンディングなどを活用してきた。

 「3つの団体が連携したのは、偶然だったんです。それぞれの団体が、校内居場所カフェの必要性を感じ、横浜総合高に開設を呼びかけたのです。複数の団体が協同で居場所作りを行うのは、全国でも珍しい事例です」(高橋教授)

明るい笑顔と美談に隠された現実

 「ようこそカフェ」を通して、どんな現実が見えてきたのだろうか。高橋教授は、「高校生が抱える問題は、学校の先生だけでは解決できない」と指摘する。

 「不登校、いじめ、発達障害、外国につながりがあって言語的に授業についていけないなど、それぞれの生徒に事情や背景があります。生活が苦しく、アルバイトを掛け持ちしないと、一家の暮らしが回らない家庭の生徒もいます」

 横浜総合高は単位制を採用しているため、自分で学習意欲を高めないと卒業できない。同校の中途退学者は年々減少しているが、全国の高校中退率に比べると高い。

 「アルバイトにも試験があり、受からない生徒もいます。そこで『ようこそカフェ』でボランティアをする大学生が、計算を基礎から教えたりもしています。これは教員志望の学生にとってもよい勉強になります」(高橋教授)

 横浜メンタルサービスネットワークの代表で、精神保健福祉士の鈴木弘美さんは、「頑張っている高校生を“美談”として受け流す風潮も問題」と語る。

横浜メンタルサービスネットワークの鈴木弘美さん

横浜メンタルサービスネットワーク代表の鈴木弘美さん

 「明るく、元気な笑顔の陰に、抱えているものがあるんです。自分で何とかしようと、独りで頑張ってしまう。周りがそれを美談だと受け止めると、ますますSOSを出せない。校内居場所カフェは、だれかに相談してもいいとみんなが思える場です。大事なのは、そのSOSをきちんと受け止め、解決へと導く大人の存在です」

“何てことのない”おしゃべりを通して

 「ようこそカフェ」が始まって、4年目を迎える。生徒たちにどんな変化があったのか。当初から運営に携わる、よこはまユースの尾崎万里奈さんに聞いた。

 「安心できる場なのか、生徒たちが素直なんです。先生に見せる顔とも、ちょっと違う気がします。『やる気がない』と先生に思われている生徒も、実はそうではない。準備や後片付けを手伝ってくれる子に、『ありがとう』と言うと、すごくいい表情を見せてくれます。このカフェには、そうした一面もあると感じます」

よこはまユースの尾崎万里奈さん

よこはまユースの尾崎万里奈さん

 尾崎さんはあえて、生徒たちと“何てことのない”おしゃべりをする。家族や先生、同級生や友人とは違う、ちょうどいい距離感の人間関係が、何気ない会話から生まれるのだ。

 「カフェに行くのも、行かないのも、だれかと話すのも、話さないのも、すべて自由。生徒たちが、自分で選べるんです。悩みや困ったことがあるときは、赤いひもの名札をぶら下げているスタッフが、相談に乗ります」

 「カフェの雰囲気は、最初からあまり変わっていない」と尾崎さん。一方で、こんな変化を感じると明かす。

 「生徒のカフェへの関わり方が変わってきましたね。それまではお客さんとして利用していたのが、ごく自然と手伝ってくれたりするんです。周りの生徒も、そこに違和感を覚えない。カフェは自分たちの場所、という意識があるんだと思います」

よこはまユースの尾崎万里奈さん

 カフェを利用する生徒と、運営に関わる大人との信頼関係も築けてきた。学校のこと、進路のこと、時には恋の悩みまで、生徒たちは少しずつ、心を開くようになる。

 「大人に絶望したり、つらい思いをして生きている生徒も多いです。『このカフェにいる大人は、信頼できる』と生徒に思ってもらえることが大事。運営に関わる私たち大人の責任は、とても重いです」(尾崎さん)

カフェを卒業後のセーフティネットに

 校内居場所カフェには、卒業した生徒たちのセーフティネットとしての意味もある。横浜総合高では、就職も進学もせず、進路未定のまま卒業する生徒が少なくない。アルバイトで生計を立てる生徒もいる。「『ようこそカフェ』が、卒業後の支えになる」と尾崎さんは言う。

 「進学、就職、アルバイトと、卒業してからもいろんな悩みが出てきます。先生が卒業後までサポートするのは、現実的に難しい。水曜日の午後、このカフェに来れば、だれか大人がいます。『久しぶりだね』と声をかけるだけで、少しは気持ちがラクになると思うんです」

よこはまユースの尾崎万里奈さん

関係性は近くても、一線を越えないコミュニケーションが、生徒からの信頼につながる

 卒業した生徒たちからすれば、連携する3つの団体は心強い存在となる。それぞれのケースに合わせて、頼れる団体を自分から選ぶことができる。

 「よこはまユースでは、若者を対象にした相談施設や居場所を横浜市内で運営しています。横浜メンタルサービスネットワークでは、より専門的な相談を受けることができます。学校を卒業する前に、そうした場所や機関があることを生徒たちに伝える。校内居場所カフェには、そうした役割もあります」(尾崎さん)

 尾崎さんとうれしそうにおしゃべりをする女性がいた。横浜総合高の卒業生で、介護士をしているAさんだ。今日は仕事の中休みを利用し、「ようこそカフェ」に顔を出した。

尾崎万里奈さんと、卒業生のAさん

 「このカフェは、自分のペースで楽しんだり、くつろげるところがいいんです。カフェがあることで、私も学校がとても楽しくなりました。尾崎さんは、お姉さんみたいなかたで、プライベートなことも相談に乗ってもらいました。これからも遊びに来たいです」(Aさん)

本物の味を食べてほしい! “水曜ママ”誕生す!!

 「ようこそカフェ」では、さまざまな地域の大人たちが、生徒たちを見守っている。生徒たちに食事をふるまうのも、地域の大人たちである。

 取材した日は、アツアツの麻婆豆腐をたっぷりかけた麻婆丼が用意された。その数なんと300食以上! おそろいのエプロンを付けた教職員やスタッフが、麻婆丼をよそっては、生徒たちに手渡す。

 「遠慮しないで!」。ひときわ元気よく生徒たちに声をかけるのは、献立から調理までを仕切る長島由佳さん。生徒たちから、「水曜ママ」と呼ばれている。

 「先生、ママ、マミー、長ちゃん…いろいろな名前で私を呼んでくれるのだけど、ある時『水曜日に来るから“水曜ママ”』と言った子がいたの(笑)。“本物”を食べてほしくて、食材選びと旬にこだわっています。今日の麻婆丼は、豆板醤をたっぷり効かせた、大人向けのピリ辛よ!」

湯気が上る麻婆豆腐
談笑しながら麻婆豆腐を配る長島由佳さん

長島さん(中央)の元気な笑顔が、生徒たちに伝播していく

 長島さんは、料理研究家、食育コーディネーターとして活動するかたわら、横浜市の教育委員を務めた経験を持つ。「ようこそカフェ」のことを知り、いてもたってもいられず、助人を名乗り出た。

 「外国につながりのある生徒も多いんです。調味料にナンプラーを使ったとき、『おばあちゃんの国の味だ』と喜んでくれた子がいたの。『おばあちゃんの料理、おいしそうだね』と言ったら、すてきな笑顔を見せてくれた。食を通して、いろんな生徒と交流できるのがうれしい」

 長島さんは、自ら料理をよそい、生徒たちに直接手渡す。その時、「あったかいよ」と一声かけることを忘れない。

麻婆豆腐を手渡ししているところ

料理は一つ一つよそい、手渡しする

 「いつも、生徒の横に立つつもりでやっているの。“支援”という気持ちはないです。生徒の成長を見る喜びを、逆に私たちがもらっているわけだしね。このカフェに関わる大人は、みんなそこにやりがいを感じていると思う」

 長島さんの明るい人柄に、救われる生徒たちもいる。うつむき、黙って料理を受け取っていた生徒が、卒業を前にして「ありがとう」と言ったこともあった。「調理師を目指して、頑張っている子もいるのよ」。長島さんはうれしそうに、そう語った。

生徒と談笑する長島由佳さん

生協が紡ぐ居場所を通じた地域のつながり

 「ようこそカフェ」には、パルシステム神奈川ゆめコープも協力している。神奈川ゆめコープが2018年に立ち上げた、一般財団法人神奈川ゆめ社会福祉財団が、連携のきっかけだった。神奈川ゆめコープの藤田順子理事長は、こう話す。

パルシステム神奈川ゆめコープ理事長の藤田知子さん

パルシステム神奈川ゆめコープの藤田順子理事長

 「神奈川ゆめ社会福祉財団では、高校生を対象に『神奈川ゆめ奨学金』(※)を始めました。高校生がどんな学校生活を送り、生きづらさを抱えているのか、私たちが知ることは大切です」

 「これからも“地域のお母さん”の立場で、生徒たちに向き合っていきたい」と藤田理事長は言う。

 「『自分たちに、温かい目を向けてくれた』と思ってもらえたら、その子もそういう大人になるはず。そうすれば、たとえ厳しい世の中でも、優しさが受け継がれていくと思うんです」

 校内居場所カフェを広げるうえで、地域と学校、生徒と大人のつながりは欠かせない。神奈川ゆめコープでは、理事研修の一環として、「ようこそカフェ」でボランティアをする試みも行っている。生協が校内居場所カフェに関わることは、地域と学校をつなぐきっかけにもなる。

 「『ようこそカフェ』が縁で、神奈川ゆめコープに就職した、横浜総合高の卒業生もいます。少しずつですが、そうしたつながりもできてきました。生徒と大人、地域と学校をつなぐことこそ、生協の役割だと思います」(藤田理事長)

※:学ぶ意欲はありながら経済的理由により修学が困難な生徒に対して、奨学金を給付するとともに、社会の中で自分らしい生き方を実現するための学びや体験の機会を、地域で活動している人、団体、行政などと広く連携・協同して作り、応援する制度。

高校生と地元メーカーとのマッチングを模索する

 「ようこそカフェ」とパルシステム神奈川ゆめコープの連携は、さらなるつながりも生んだ。県内にあるパルシステムとつながりの深いメーカーが、「ようこそカフェ」に、食材の支援を申し出たのだ。

 取材日にふるまわれた「麻婆丼」には、共生食品株式会社(神奈川県相模原市)の豆腐が使われている。国産の大豆と「にがり」にこだわり、消泡剤を使わずに作る自慢の豆腐だ。

会場に届いた、パルシステム組合員にはおなじみの絹豆腐

パルシステム組合員にはおなじみの絹豆腐

 共生食品が「ようこそカフェ」に初めて食材を提供したのは2018年9月。そのきっかけを、同社の三澤孝治社長はこう話す。

 「子どもの貧困や生きづらさに対して、私自身、問題意識を感じていました。社会の宝である子どもたちに、理不尽にも深刻な格差が生まれている。子どもに、その責任はありません。そう思っていたとき、神奈川ゆめコープさんから、『ようこそカフェ』のお話を聞いたんです」

 ココロとカラダをはぐくむ、安全・安心で、しっかりしたものを食べてほしい。「ようこそカフェ」の取り組みを知ったとき、三澤社長は「うちらしい貢献のかたち」と感じたという。

 「カフェを利用する高校生に、自分たちの豆腐や会社を宣伝することは考えていません。おいしく、たくさん食べてもらえたら、それで十分です。機会があれば、私もスタッフの一員となり、一緒に料理を作り、ふるまいたいです」

共生食品株式会社の三澤孝道会長(左)と三澤孝治社長(右)(写真=編集部)

「二つ返事で提供を決めた」と、共生食品株式会社の三澤孝道会長(左)と三澤孝治社長(右)(写真=編集部)

 中小メーカーの人手不足が切実な昨今、三澤社長は経営者として「“選ばれる会社”でありたい」と語る。大学と連携し、品質管理、製造、営業とさまざまな分野で、採用につなげる試みも始めた。

 「このカフェが、食に関わる仕事や地元企業に関心を持つ生徒さんと、弊社とのマッチングの場になるかもしれません。そうなればうれしいですね」

「校内居場所カフェ」を正しく広げるために

 このように「ようこそカフェ」には、地元の支援団体、生協、企業など、さまざまな地域の大人が関わっている。その意義について、高橋教授はこう語る。

ようこそカフェの意義を語る高橋教授

横浜市立大学の高橋寛人教授

 「いろんな大人が関わることで、生徒たちが大人の世界を知ることができます。福祉を学ぶ大学生、社会貢献に関心の高い経営者、生協の人たち。いろんな仕事があることを知ることで、『世の中捨てたものじゃない』と自分の将来に可能性を感じる生徒は少なくありません」

 前向きになるのは、高校生だけではない。「関わる大人の側にも、大きな影響がある」と高橋教授は言う。

 「いろんな大人が関わることで、大人どうしの横のつながりが生まれます。それが結果的に、地域の大きな力、コミュニティとなります。その意味でも『ようこそカフェ』に、パルシステムのような生協や、地元メーカーが協力する意義は大きいです」

談笑する鈴木さんと尾崎さん
料理を配るパルシステム神奈川ゆめコープの役職員

料理を配るパルシステム神奈川ゆめコープの役職員

料理を作りながら話す長島さんとスタッフ

ちょっとした会話も、自然とカフェの話に

 課題もある。本音では利用したいのに、行きづらい生徒がいるのも事実だ。特に夕方から授業が始まるⅢ部の生徒は、時間的にカフェを利用するのが難しい。

 運営費や人手の問題もある。毎週水曜日の午後、200人以上の生徒が利用する校内居場所カフェを維持するのは容易ではない。行政、学校、運営団体、生協、地元企業が連携し、運営費と人手を賄っていく必要もある。

がらんとした、カフェ終了後のスペース

がらんとしたカフェ終了後のスペース。人を思いやる気持ちが、空間を「居場所」に変えることを実感する

 2019年8月には、高橋教授らが中心となり、『学校に居場所カフェをつくろう! 生きづらさを抱える高校生への寄り添い型支援』が刊行された。横浜総合高の「ようこそカフェ」の事例も詳しく紹介されている。

 「『昔はもっと苦労した』『とにかく働け』みたいな、大人の“説教カフェ”にならないようにするための専門的な視野、人、ネットワークは大切です。『ようこそカフェ』のような校内居場所カフェは、今後もっと必要になるはずです。多くの大人を巻き込み、どう広げていくのか。地域作りに関心のある皆さんとともに、考えていきたいです」(高橋教授)

取材協力=横浜市立横浜総合高等学校、公益財団法人よこはまユース、認定NPO法人横浜メンタルサービスネットワーク、認定NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ、共生食品株式会社 取材・文=濱田研吾 写真=豊島正直、編集部 構成=編集部